どうだって
学生から社会人の頃、椎名誠氏の本をあれこれ読んだ。
『銀座のカラス』は、新聞に連載していたのを読んで、
本では読んでいなかったかもしれない。
丁度、同じくらいの年代の話だったから、
とても面白く読んだ。
その中で、よく「まぁいいや、どうだって」というフレーズが出ていた。
椎名誠氏の小説には、このフレーズがよく出てくるイメージだが、
軽く諦めているという印象ではなかった。
若者が、真面目にあれこれ思いめぐらせて、
結局答えを出しきれず、「まぁいいや、どうだって」ということに
なるのだけれど、これでいいのか?と
社会人の時かなり考えたことだ。
答えを出さずに、「どうだって」と終ってしまうのが、
なんだかもやもやしてしまって。
でも、今、読み返したら、きっとあのころとは違うように
読むんだろうなぁと思う。
世の中、考えても答えの出てこないことばかり。
ある時点できりがないと、諦めたり、ねかせたりすることは、
ある意味必要だなぁということがわかっている。
そこをまじめすぎると、あんまり悩みすぎて煮詰まって…
ってことになってしまうのもわかっているから。
どうだっていいことなのか、そうじゃないのか、
その見極めが、できる大人になれているかな?
で、調べてみたら、『銀座のカラス』は単行本(朝日新聞社)も
文庫本(朝日学芸文庫、新潮文庫)も出版社に在庫なし状態。
もしかして、絶版なのだろうか?
こればかりは、「まぁいいや、どうだって」ではないなぁ。
図書館にありますように。