とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

実直さ

今の世の中、実直さだけでは生きていけないのだろうか?
真面目で正直、自分にとっては、
それはとても正しい生き方のように思うのだが、
世の中そうではないのかもしれない…
と思うことがしばしばある。
例えば…
いや、例えなどあちこちに転がっているので、
いちいち挙げることもないか。


わたしの山の精霊(リューベツァール)ものがたり

『わたしの山の精霊(リューベツァール)ものがたり』
を、図書館で借りて、延長までしてようやく読み終わった。
小さなおはなしが24話。
それを、プロイスラーが巧く脚色して、自身のこともからめ
創り上げたものがたり。
一つ一つは、山の精霊リューベツァールの言い伝えをもとに、
書かれたもので、人間の浅はかさ、傲慢さ、愚かさを
リューベツァールに思い知らされたり、
また、逆に、心優しく、真面目に生きている人間に、
リューベツァールから贈り物が届いたり、
助けてもらったりというおはなし。


プロイスラーが、子ども時代を過ごしたボヘミア地方の
昔の暮らしぶりとか、時代は変わっても変わらない人間の性質
のようなものが、読みとれて、とても面白かったと同時に、
プロイスラーの心に住み着いていたリューベツァールの山々が、
時代が変わって、様が変わっていたことを嘆く気持ちが
とても伝わってきて、最後の章はなんだか泣けてきた。
そういう読み方は、子どもはしないだろう。
子どもはこの物語をどう読むのかしら?なんて、
思いながら読んだのだった。


心の中に、畏怖を感じるものだったり、信じるものがあったり
それは、大事なことだなぁと思う。
実直に生きていることを、誰かが見ていてくれるという
安心感みたいなもの。


しかし…今の世の中、「正義」ってなんだ?という
良くわからない世の中で、ふらふらしてしまうのも
わかるような気がするし、
私自身もなんだかふらふらしている。


オトフリート・プロイスラー 好きだなぁ。