とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

どどーんと重く

スターリンの鼻が落っこちた

図書館で借りてきた本。
今年、2月に岩波書店から刊行。
原書は2011年と、新しめ。

スターリンという名前がタイトルについていることから、
ソ連が舞台というのは、想像がつくが、
ううむ…主人公10歳の男の子の一人語りで、
始まりから読み易さを感じる反面、
じんわりとモノクロの懐かしさというよりは、
薄暗さ、苦々しさがちりばめられ、
これは、子どもたち、それも、
日本の今の子どもたちは、どう受け取るのだろうかと
考えさせられる本だった。

この作品の山は、主人公サーシャが覗いている
代用教員ルシコ先生の国語の授業だと思う。
ゴーゴリの『鼻』のことを話している。

『わたしたちがだれかの考えを、正しかろうが間違っていようが、
うのみにし、自分で選択をやめることは、遅かれ早かれ
政治システム全体を崩壊に導く。
国全体、世界をもだ』

このシーンはとても短いが、この言葉は恐らく、
サーシャの中に深く深く浸透している。
最後に自分で考え、自分で選択する場面で、
この言葉が活きていると思う。

おそらく、作者は、この先生にこのセリフを言わせることで、
読者に強く、伝えたかったのではないか。

昨日、私は誕生日だった。
疲れて早くに眠った私が、1時半に下の子が起きている
灯りで目を覚まし、下の子に
「昨日は誕生日おめでとう。何もプレゼント用意してなかった」
と言われ、何もいらんよ、とこの本を読み始めたら、
「読んであげる」と、6と7を読み上げてくれた。
二年ほど前まで、いろんな本を読んで聞かせていたが、
まさか、読んでもらうようになるとは…。

初読のはずなのに、結構うまく読むもんだな。
成績は振るわないけど、こういうところもあるんだな、
と、なんだか嬉しい誕生日プレゼントをもらった。

ちなみに上の子からは、プチブーケ。
少ない小遣いの中から、ありがとね。

二人とも、自分で考え、自分で選択し、
だれかの考えを鵜呑みにするような
危うい人生を送りませんように。
間違いは間違いだと、気づく人になって欲しい。