とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

のうのうと生きている

もう、一年以上前、「読書芸人」の回で、
又吉氏が言った言葉を良く思い出す。
大好きな作家の新刊が出たことも知らずに、
のうのうと生きて…云々。
自分はそういうことばっかりだな…と思う。

自分には、新しい本を追うということは到底無理だ。
本は気分で選ぶし、その時その時で、
興味があるものが違うし。

で、最近図書館で借りて読んだ本で、
印象に残ったものを数冊、ここで、まとめて記録。

ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ 文庫はこっちひきこもれ―ひとりの時間をもつということ (だいわ文庫)

こういう本を、中学、高校生くらいの時に読めたら、
また違った人生があったかもしれないなぁと思う。
また、上の子が中学の時に知っていたら、
私も上の子も、随分気持ち的に楽だったろう。
下の子が学校に行きたがらない今、この本にであったのも
何かの縁ではあろうが…。
ということで、読んでみたいときにパラパラと
開けるように、文庫を買ってリビングに置いている。
引きこもりを助長するというよりは、
人間、そういう時間がやっぱり必要だろうという言葉に
大変共感するので。

ペーパータウン (STAMP BOOKS)
岩波書店の新しいYAのシリーズ、STAMP BOOKS。
海外の最近の作品で、読んだのだが、
アメリカ〜〜って感じだった。
どうも、自分には感情移入は出来ず、
まぁ、主人公クエンティンの気持ちはわからないでもないのだが、
この高校生たちの、おふざけなのだか、なんだか
わからない部分が…昔見た映画、ケビン・コスナー
『Fandango』を思い出して、気持ちが収まらない。
あれは、大学卒業で、こっちは高校卒業なので、
そもそも登場人物の歳は4歳ほど下なのだろうけど。
それは、恐らく、自分が真面目くさっていて、
間違ったことに目くじらを立てる大人の方に
寄りがちなティーンエイジャーだったからではないかと
思うのだが…。
だから、そんな中でもまぁ、真面目なクエンティンの事は
よく解るのだけれども、
私には、マーゴが何に不満を持って、何から逃れたがって
家出をしたのか、よく解らなかった。
とても筋の通ったことを言っているようで、
しかし、どうしてだか、子どもっぽいなぁとも思う。
そういうものだろうけど。
最後にクエンティンがマーゴを連れて帰るとか、
一緒に居ることを選択しなかったことだけが、
私には救いに思えた。
幼なじみで、近い場所にいるものであっても、
お互い知らないことって山ほどあるものだ。
家族でもそう。
人を理解するってことは、簡単なことではない。

図書館で読んだルーシーのぼうけん』
は、もっと歳の幼い子向けのお話しだったが、
こっちの方がよっぽど感情移入出来るお話しだった。
男の子になりたいルーシーが、
一生懸命に男の子として認められるために
あれこれ考え、行動する。
探偵になって、事件を解決することで、
認められようとするのだが、ある事件に巻き込まれ…。
冒険ものだ。凄くドキドキハラハラする。
1年生だと、読んであげるといいかな…2、3年生くらいで
凄く楽しめる本だと思う。

かみなりのちびた
これも、図書館で読んだ。
おはなしは軽快に進む。ユーモア満点なファンタジー。
松野正子さんの楽しいおはなしに、
なんといっても長新太さんの絵がとてもよくマッチしている。
雷の子ちびたと、ひろしの、おもしろおかしい
友情とプチ成長の物語。
これはきっと1,2年生に楽しんでもらえるはず!
最後はなぜか、じーんとしてしまう。
からっと明るいエンディングではあるけれども、
ちびたとひろしは、もう、会えないのかなぁと
お話しが終わるのが寂しい気持ちがどっと押し寄せる。
夏休みに、うってつけだ。
いくつかのおはなしからなるので、
一気に長いおはなしを読むのが苦手な子でも大丈夫。
なんならおうちの人が読んであげて。

はじまりのはじまりのはじまりのおわり 小さいカタツムリともっと小さいアリの冒険 (福音館文庫 物語)
なんというか…これは、中学年からってことになっているが、
ちょっぴり大人テイストであるなぁと思う。
かたつむりのエイヴォンと、ありのエドワードが
冒険を探すための冒険の旅に出る。
旅の短いエピソードには、他の生き物に対しての
不思議であるとか、哲学の入り口みたいな
エッセンスが盛り込まれていて、面白い。
が、これを、楽しむ子どもの年齢はどれくらいか…。
また、どういう興味がある子だったら楽しむか、
などと考えると、なかなか難しいなと思う。
冒険を探すための冒険の旅とは言っても、
いわゆる冒険物とは一味違う。
どちらかと言えば、うちに籠って考えることが
好きな子におすすめする本かもしれない。

あと、読んで、かなりいい刺激を受けたのは
「あの日」からぼくが考えている「正しさ」について
自分にとっての「正しさ」
どういう判断基準なのか、
詳しく自分の内側を覗き見ることが難しい。
また、自分が正しいと思うことが、万人にとって、
正しくはないことになるってことも、
ちゃんと心に留めておかなければならないなと思う。
いろいろ読んでみたいと思う本も出てきた。
それらの本についてはまたの機会に。