とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

いろいろと深く読み取れるものがある不思議な世界

小学生の3年生くらいから楽しめる本を探すのは、
なかなか難しい。

一気に文字数が増え、挿絵が減るというのは、
それまでに、どれだけ本を楽しんできたか、
おはなしを楽しんできたかで、
かなりちがったプレッシャーを感じるので、
やはりある程度の文字の大きさや、挿絵を希望する。

小さい時に絵本を楽しんでいた子が、
言葉や文字に興味を持ち、
文字表記された言葉だけで物語を楽しむには、
相当の経験が必要となってくるだろうと思う。

いずれ、文字ばかりの文章を楽に読むには、
この、中間の地点にいる子たちに
手渡す本は、大変重要だなぁと感じる。
というのは、そこで、本嫌いになりかねないから。

大人だって、例えば新聞を読むとき、
文字ばかりの記事よりは、
写真が一枚添えられている記事の本が、
イメージしやすいし、
自分が経験・体感したことのない事柄なら
尚更、手助けは必要なのかもしれない。

ふしぎな木の実の料理法 (こそあどの森の物語 1)
『不思議な木の実の料理法』
この、「こそあどの森」シリーズのことは、
ずい分前から知っていたが、パラパラとめくっただけで
中味は良く知らなかった。
自分が我が子(特に下の子)に手渡す為に
この作者、岡田淳さんの本はあれこれ手に取ってきたが、
このシリーズは、下の子の趣味とは
ちょっと違うような気がしていたから、
じっくり読まなかったのだ。

数日前、この本をじっくり読んで
大変惜しいことをしたなぁと感じている。
下の子もだけれど、上の子は特に、この本を
大変楽しめたのではないかと感じたからだ。

主人公の男の子スキッパー
感情移入する子は、多いのではないか。
また、こそあどの森の住人の、
それぞれ、いろんな人がいるなぁというところも
現実的である。
とはいえ、これは、人間の世界か??と思える
ファンタジー感もあり、
人間社会のようで、小人か?妖精か?
などといろいろ想像するのも面白い。

他人との接触を苦手とする少年スキッパーが、
送られてきた木の実を巡って、
こそあどの森の個性的な住人達と接触するうち、
社会性を少しずつ身に着けていくというのが、
嬉しいし、また、内にこもっている様子も、
非難されているわけではないというところが
読んでいて心地よく感じる。
もちろん、すんなりと仲良くなれるわけもなく、
人と接触することで、気持ちが一歩後退することも
描かれていて、だから余計に、
感情移入しやすいのではないかと思われる。
そして、最後のシーンは、
じわじわと、温かさや幸福感を感じるのである。
もちろん、スキッパーの達成感も自分の物として
喜びの一つになってくれる。

これだから、子どもの本だからと
侮ってはいけないなぁと感じる。
文字は大きいし、大人ならさっさと読み終えるくらいの
文章量だが、その味わいはかなり深いと思う。
我が子に読んで欲しかったなぁと思う本であった。
きっと、本が好きになるのではないかと思う。

もっとも、上の子は、その本の内容はさておき、
もう、かなり早い段階で本を楽しむことが出来る子だった。
絵本などを沢山読んであげた記憶は、
息子程はないのだが、小学2,3年生あたりで、
彼女の読書力はグンと着いたように思われる。
それは、力をつけようとして備わったものではなくて、
ただ、楽しんでいたら、そうなった…というものだろう。
彼女には、本はあまり読んであげた記憶がない。

図書館にも、そこまで連れて行った記憶もないし…
どこであの読書力を身に着けたのか、謎である。

子どもの本を楽しむという点で、
我が子にその面白さを教わった点は数多い。

知らなかったことを知る楽しさとか、
絵の中にかくれている物語の一部を見つけるとか、
自由な捉え方でOKなんだとか…
挙げるときりがない。

こそあどの森シリーズは、いま、10巻まで出ていて、
1巻目が面白かったので3巻目まで一気に読んだ。

この物語の中で、実際には出てこないバーバさんという
スキッパーの同居人である博士が、
実は女の人だったということを、
続きの二巻目で気づいて、
自分の読み方の浅さにますます反省したのであった。

3巻目まで読んでの感想としては、
1巻目と同じ雰囲気を望んで読んではいけないんだな、
ということ。
同じこそあどの森を舞台にしたこそあどの森の住人が
登場する物語なのだが、
それぞれ、違った空気を感じる。
10巻別々に読める物語だと思う。
でも、やっぱり、一巻目は一番先に読んだ方がいいかな。
まだ、あと7巻残っているが、
多分、私は一巻目が一番好きではなかろうか…と思う。