とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

Nのために 1回目 141017

原作を読んでのドラマ視聴だが、
原作はないものとして見ようと思っている。

高野さん(三浦友和さん)の役が、
原作にはないのだけれど、ドラマを進めていく上で
とても重要なお助け役だと思う。
原作を読んだ時、ドラマ化するなら、ナレーションや、
セリフがいると思っていたが、
ナレーション的な役割も担っている重要な役。
うまい作りだなぁと。

ただ、現在行方不明の二人ってところが、
どうしてなんだ??と思う。
高野さんは、あの島にはもう住んでいないから、
原作ではあの島にレストランを開いているはずの
成瀬君を知らないのだろうか?
原作とは、違っているのだなと予想できたので、
本当に原作は思い起こさずに見ようと思う。

初回は、15年前の島でのシーンが中心。
希美と成瀬の距離感が、とても爽やか。
二人とも、なんとかしたいけど、
まだなんともできないという高校生であるという現実が、
とてもよく伝わってくる。
もっと、何とかしようがありそうだが…という
大人目線で見てしまうが、自分が高校生のときだったら、
と思うと、なんていたいけで、真っ直ぐで、
頑張り屋さんなんだろうと思って応援したくなる。

そういう二人とは逆に、
大人の弱さであったり、身勝手さだったりが、
現実的ではなく、狂気じみていて
見ているこちらの気持ちの収まりが悪い。
そういう部分を狙ってあるのかもしれないが、
高校生に毎日土下座を強要するって…とか、
島の町の人たちや、希美のことを心配してくれる友達が
ほとんど皆無なのが、驚きだ。
小さな島だからこそ?
そういう島だからこそ、そこに手を差し伸べたいと思う人が
必ず何人かはいるのではないかと思うし、
友達にしても長い付き合いだろうから、
シカトはないんじゃないの?と思わないでもない。
まぁ、希美がその手を望んでいなかったからかもしれないが。

島の風景の美しさが、ホッとするけれど、
逆に切ない気分を掻き立てる。
この二人が、この島を出て、
この風景とは別のところでは、恐らく、
別な二人のように見えるのだろうなぁ。

希美の母は、お嬢さん育ちで、あんなだが、
そうだとしたら、その娘で、
お嬢さん育ちの希美のあの強かさは、
一体どこで培われたものだろうか?親父似かな?

高野さんと西崎さんの会話から、
高野さんがどうしてこの事件にここまで執着しているのかが、
いまいちつかめなかったが、これからまた
明らかにされていくだろう。
奥さんが、あの火事で亡くなるのか?と思ったが、
人物詳細を見ると、声が出なくなってしまったが、
亡くなってはいないようである。

原作を読んだ時も少し感じたのだが、
家族の崩壊のきっかけは、些細なことから起こり得る
のかもしれないが、希美の場合、
すんなり受け入れられるものではなかったろう。
それに、親戚関係は一体どうなってるのだ?!
そこらへんに、現実味がちっともないのが不満。

東日本大震災後、あんなに絆、絆と言っていた割には、
家族間のつながりは、薄くなっていく一方なのかな。
あの当時、「絆」とどこもかしこも訴えていたが、
ちょっと、胡散臭さを感じていた自分には、
やっぱりあのときだけのお祭り騒ぎ的なものだったのねと、
思わずにはいられない。
『Nのために』は、震災前に書かれたもので、
家族間の愛情も何も打ち消されてしまって、
独りで生きていくと決意する希美がヒロインであるし、
恐らく、次週くらいまでは家族が出てくるだろうが、
その後は何も触れないままになるのではなかろうか。

純愛っていう意味が、私にはちょっと掴めていない。
いろんな人に対する愛であろうが、
その愛の感情を形成するのは、主に家庭ではなかろうか。
多感な時期に、その家庭愛を信じられなくなった希美が、
島を出て、誰をどのように愛していくのか、
これからどう話が進んで行くのか楽しみだ。

それにしても、昨今のドラマにしても、小説にしても、
まぁ、なにか、事件的なことが起こったから、
ドラマや話が展開していくのであろうが、
しずか〜に、日常が描かれているっていうものが、
なんと少ないことか…。
特別なこと、非日常的なこと、
これがないと、生きてるって感じがしないのかね??
そういう風潮に、ちょっと、疲れているおばちゃんである。

ここからは、やっぱり、窪田くんのこと。
成瀬慎司の役、はまり役になるかも、
でも、私の中では西崎を・・・ってなことを
原作を読んだ直後に、ブログに書いているが、
初回見た限り、やっぱり、はまり役となりそう。
っていうか…高校生役、なんでいまだにピッタリはまっちゃうのか?
東京での20代、行方不明の30代として、
どういう風に登場するかみないと、
ほんとのはまり役だったかはわからないが、
この前のスタパを思い出してみても、
なんか笑えるほど、素というか地がわからん人だ。

耳をすませば』ファンにとっては、
窪田くん、ここでジブリとかぶるとは…なんて思わせた
自転車二人乗りシーン(二人乗りはいかんことやけど)。
希美ちゃん、もっと成瀬に頼っていいんじゃないの?
成瀬も、それを、待ってるんじゃないの?と思いつつ、
あんな演説されたら、そりゃもう、自分が…という気持ちは、
抑えてしまうだろう。
誰の力も要らない、つまり、あんたの力も要らないって
断言されたようなものだしなぁ。

通学用の靴を、ビーチサンダルに履き替えるシーンが、
なんか、新鮮だった。
学校帰りだったよね?
というか…わざわざ、学校に持って行くのか?
ビーチサンダルを?
そういうのって、地域性?
私なんか、海なんかない地域だったから、
あんなことしてるの、見たことないんだが…。
びっくりした。いきなり靴下脱ぎだして。

成瀬は、落ち着いていて、真面目だけれども、
押しが弱いというか、一歩退いている感じがして、
どうも、頼れる男ではないような。
だから、希美の心を癒してはくれるけれども、
よりかかれる、心の支えとは、成れないような気がする。
これ、ちょっと、朝市とかぶってる?

でも、成瀬君はやっぱり成瀬君。
窪田くんは、良い人役が、続いているな。
ちょっと、誰か、クズ役を窪田くんに、
演じさせてくだされ。
以前書いたかもしれないが、
平野啓一郎の『透明な迷宮』の中の
「消えた蜜蜂」の郵便配達くんをやって欲しい。
世にも奇妙な…みたいな、オムニバスで、
やってくれたらなぁ、なんて思いながら、
でも、成瀬を12月まで愉しんでしまうに決まっている。