その言葉がキラリとひかり、心に刺さった
この本の作者大竹英洋さんのスライドトークライブに行ってきた。
北米ノースウッズの森の中での写真や、映像を見せていただいて、
撮影時のおはなしを、ご本人の生の言葉で聴けたのは、感激だ。
こちらの本が出た時もおはなしを聴いたが、何度聞いても
心がわくわくしてくる。
自分には見ることのできない野生の動物の生態のことだが、
これらの写真や本を楽しんで子どもたちに読んでいる者としては、
作者の気持ちやいろんなエピソードがこちらに伝わったことで、
次から、本を読むときにさらに自然な気持ちで読めるなぁとも思う。
この本を幼いお子さんのおはなし会で読むとき、
子どもたちはもちろんじっと見ているし、
その言葉が心地よく伝わっていると思うのだが、
実は、凄く感じるのは、お母さん方の表情が、
とても柔らかくなること。
作り物でない自然の動物たちの表情に、
気持ちをほぐされるのか、
日常から、ほんのひととき、旅をしてきたような、
お母さんたちの穏やかな息遣いを感じる。
大竹さんは、動物とじっと見つめ合うとき、
自分を見つめているような気持ちになるとおっしゃっていた。
自分は何者か…と。
また、一人っきり森の中でキャンプをしている時、
淋しさは感じないと。
一人で自分に向き合う時間・・・そういう時間は必要
そのようなことをおっしゃった。
一か月、誰にも合わず、森の中に暮らす。
大竹さんが何を思い、一人で何年も北米へ通い続けるのか、
本当のところは大竹さんの心の中に収まっていて、
本を読んでも、全て知り得ることはないのだが、
これらの作品を読むと、私の心の中にもある、
自然の中の一部である自分というものを、
彼も感じていらっしゃるように思うのだ。
とても優しく、強い人間…
それが、大竹さんだなあと改めて感じた。
『もりのどうぶつ』が0・1・2えほんのハードカバーになりますように。
あと、今日、白くまの映像を見せていただいたのだが、
あれが、本になるといいなぁ。
かがくのともあたりで…出ないかなぁと、思う。
いや、描き下ろしでも出していただけるなら。
今日、心に残ったのは、様々な写真や、エピソードもそうだが、
大竹さんのカリブーの雄を呼ぶ呼び声と、狼の遠吠え。
あれを、誰もいない自然の森でやるのは、気持ち良かろうなぁ。
ましてや、自然の動物が反応してくるなんて、
もう、テンションが~~~っと上がるだろうなぁ。
でも、そこで、野生の動物との距離を感じて、
ちょっと、寂しくなったりするんだろうなぁ。
私はときどき、人間でいるのが、嫌になる。
自然の一部のはずなのに、人間だけは、なぜか
自然に手を加えちゃうし、自分達の便利さのために、
地球があげている悲鳴に耳を傾けることもしないし、
生きることに執着しすぎて、大変醜い。
例えば生まれてすぐに、ワシに襲われて命を落とすとしても、
誰のせいにもせず、誰も恨まず、ただ死を受け入れる
そんな動物の自然な姿はとても尊いし、だからこそ、
うまく自然界は成り立っていたはずだ。
人間って、嫌だなぁと思う。
昔は人間も、自然と上手く均衡を保ってきたのに、
いつの間にか自然界を自分たちの手の中に収めてしまった気になっている
そんな人間で生まれてきたことがなんだか恥ずかしいと、私は思う。
でも、大竹さんは、大自然の中でも、
そういうことを感じない人のような気がする。
ちゃんと、人間としての自分と向き合っているひとだろうなぁと、
今日のお話をきいていて、うらやましかった。
これからますますのご活躍を、心よりお祈りしております。