とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

エイキンっぽさ

踊る光

読んだぁ〜。
これは、何だか、大人っぽかった。
『王への手紙』や『七つのわかれ道の秘密』あたりとは、
かなり違う読後感に、ちょっと戸惑いつつも、
これは、エイキンの面白話じゃない方の短編に
読後感が似ている、と凄く思う。
そして、昔ばなしとはちょっと違う、
捻じられた感じのする文章だなぁとも思う。

『王への手紙』などは、とても素直というか、
真っ直ぐに寄り道が無い進み方のように思う。
長いけれども、突き進んでいく感じ。

短篇集だからゆえ、なのか、
時々、短いお話なのに、焦らされるものもあり、
思った通りだなと思う物もあり、
そうなるの?!だったりも…。

ほんの少し、訳に苛つくことがあって、
今回の西村さんの役は、星一個分くらい
考えるところがあるような気がする。
もう少し、練って欲しかったというか…。
短編だと、余計に思ってしまうのは、
話して聞かせるのに満足できるリズム感が欲しいって。
読みながら、(声に出して読んでいるわけではないが)
そこのところが、もったいない気がする。
『王への手紙』物語の始まりを息子に読んであげていて、
読み辛さとか、全く感じなかったのだけれどなぁ。

でも、これまでの長編とは、別のトンケさんの世界を
知ることができて、良かった。
人間臭さが凄く出ている短編が多かった。
中学生以上には薦めたい。

それから…花布とか、綺麗。
凄くしっかりした製本で、『王への手紙』も
ハードカバーで出して欲しかった。

あと、宮越さんの絵に関しては、
ちょっと世界観が違うような気がする。
私はこの挿し絵がない方が良かったなぁ。
特に、幻想的な話が多かったので、余計にそう思う。
双子の王子の絵などは、特に。なんか残念。
もともと、いろんな作家の絵を挿絵として使われて
いたそうなので、そのままか、なしで良かったんじゃないか?
トンケさんの絵だったらなぁ。
ちいさな挿絵でも良かったと思うんだけれどもなぁ。

いろいろ残念に思うところはあったけれども、
おはなしの世界観はしっかりと一話一話楽しめた。