とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

両親に手渡す

少年たちの戦争

この本を知ったのは、著者の奥さまからご紹介が
あったからだった。
その方は、実は、私がこのブログでも
心のお師匠様と呼ばせていただいている方である。

お師匠様が、子どもの本関連以外の本で、
ご紹介くださることは殆どなかった。
私は、10年前に、このお師匠様の講座を受けて以来、
この方の講座や講演を、まるで追っかけのように
出来うる範囲で、受けてきたが、その中で、
ご主人の話を聴いたことは、無かったように思う。

だから、あるおはなし会の終わり、この本と、もう一冊
著者 徳永徹氏の本を紹介されたときに、
珍しいなと思ったし、とても、興味をそそられた。
恐らく、お師匠様も、この本を、沢山の人に
読んで欲しいと思っていらっしゃるのだろうと、
そう思ったから、すぐに購入して、読んだのだった。

戦争はダメだ、という直接的な言葉はないが、
戦争へ向かう国家、そして、変わっていく人
その異常さや、愚かさ、恐怖を感じる本だった。
今は、このような著書を書かれる徳永氏でさえ、
本文の中では、軍国少年であったことが、
何より、恐ろしさを感じるところだ。
この本の帯にある、塩野夏生さんの言葉も
ピッタリとこの本を言い表している。


今年48歳。戦争を知らない世代である。
18歳まで祖父母と一緒に暮し、
その中で、いろいろと話を聴かせてもらった記憶はある。
だから、戦争という行為の恐ろしさや、愚かさは、
なんとなくは自分の心に受け止めている。
ただ、私は、あの戦争の終わりを、13歳という
多感な時期に迎えなければならなかった父の口から、
戦争の話を聞いたことがない。
もちろん、父が、平和を望んでいることは
なんとなく伝わっている。
昨年、
「怪しい方向に進んでいるように感じる」
と、ニュースを見ながら言ったことが、忘れられない。

父が、戦争の話をしてくれないのは、
その戦争が、辛く、思い出したくないからかもしれない
そんな風に思い、こちらからは、訊くことはしていない。

だけれども、この、徳永徹氏の本を読み、
氏の講演を拝聴する機会もあり、
こちらから、父の心をノックしても、
いいのではないかと思い始めた。
映像や書物などの資料では、詳しく知ることができる戦争だが、
父が、その当時、どんな気持ちだったのか、
どんな体験をしたのか、また、
それをなぜ、子どもである私は知らないのか…
父が感じたことを知るのは、父に訊くしかないのだ。

とはいえ、私は父と確執があるわけではないが、
どうも、小さい時から他人行儀で接してきたので、
直接訊くのも、勇気がいる。
ということで、この本を読んで、
父が話したくなればなぁと思って、
先月実家に置いてきた。
母に渡してきてしまったたのが、
やっぱり、昔と変わらず、距離があるなぁ
と思うのだが、
今度行ったときには、父が元気なうちに
訊いておきたいことは、バシバシ訊きたいと思う。
親子なんだからさ、と自分に言い聞かせている。