とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

再読

ハイジ〈上〉 (福音館文庫 古典童話) ハイジ〈下〉 (福音館文庫 古典童話)

読了。

本の奥付に、購入した日付と、読んだ日付を
記入していた。

この本を買った2008年の秋は、
上の子が中二の秋なので、
学校にたまーにしか行かなくなって、
まる1年ほど経ったころだなぁ。
購入して、数日して読み始めて、
読了の日を記入していないので、
どれくらいかけて読んだのか、解らないが、
子どもが学校に行ってないっていうのに、
自分の好きな本を読むような気に、
よくなれたもんだ…と、ちょっと自分を疑う。
といいつつ、この本には、救われたので、
読んだ私、GOOD JOB!である。

7年近く経って読んでみると、
自分に響く言葉が、少し違っていた。

今回、読んだのは、来月ある、読書会のために、
もう一度、じっくり読んでみようというのが
紐解いた理由なのであるが、
こういうのは、やっぱり、タイミングってあるなぁと、
つくづく思う。

『ハイジ』には、主人公ハイジの、
純粋無垢な心の美が描かれている。
けれども、その周りを取り巻く人々の、さまざまな人生が、
描かれていて、それによって、よりハイジの無垢さや
幸せ度が際立っているようにも思われる。
そして、彼女と関わることによって、
自分の心を悩ますことからいつの間にか逃れている人々。

今回は、おばあさまがハイジを優しく諭す言葉が、
特に、自分の中に入ってきた気がする。
それは、おそらく、作者ヨハンナ・シュピーリの、
信仰心の現れだと思うのだが、
訳者のあとがきを読みながら、
ヨハンナ・シュピーリは、おばあさまのような信仰心をもち、
ハイジのように、大切な人々への愛を惜しまなかった人だったのだろうと感じた。
それを理想としていた方なのかもしれない。

宗教という意味では、私には、
上手く理解できないところがあるかもしれないが、
宗教観とか、信仰心といった、枠を外れたところで、
生き方として、受け入れていきたい姿がある。

難しさを除いて、子どもにも受け入れられる言葉で
伝えていきたい心の持ち方を著してある文学である。
こういったものを、どこか、心の中に記憶している子は、
なにかしら、壁にぶつかったり、挫折したり、
わが身を不幸だと思ったりしたとしても、
ふと、これらの言葉に、前に進む力をもらえるのではないか。
それが、児童文学のもつ、生きる力なのだろう。

「ダイジェスト版では、それは伝わらない」
とは断言できないが、
ダイジェスト版で小学1年生の時に読んだ私よりは、
10代の中ごろ、この完訳を読んだ娘の方が、
自分の物にしているに違いない。

私は文庫をもっているのだが、贈り物にするには、
断然古典童話シリーズのハードカバー版をお薦めする。
いつか、私も自分のために、ハードカバー版を購入したい。