とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

預言者か!

春、3月12日に、『火花』25万部で、
凄いわ〜!な記事をこのブログに書いている。
文學界2月号が異例の増刷で、火花は読んだ人が
多かったろうに、さらに単行本もうれるんだと、
びっくりしたのであった。
文學界を読んだ一読者の私には、
これとは別のものが読んでみたいという気持ちが
強く残ったので。
まさか、こんなことになろうとは。

その後、三島由紀夫賞候補に挙がり、
受賞は逃すも、6月には芥川賞候補に。

芥川賞受賞で『火花』現在209万部。
そして、明日発売の文芸春秋は92万部を超す発行部数らしい。
選評なども読めるので、確かにこれは、
お買い得である。

明日発売の『文學界』も芥川龍之介への手紙が
掲載されるらしく、こちらも恐らく需要はあるだろう。

出版界は、『火花』が又吉氏の処女作であるので、
残念…的なニュースを見たが、
そんなことは、知ったこっちゃないし、
この後も、売れる作家になるか、
それとも、本に手を伸ばした人が飽きちゃうか、
そこらへんは、出版界も努力しどころだろう。

私が思うに、芸人が賞を取ったという話題性は、
『火花』やそれに関する書籍が売り上げを伸ばしている
やはり大きな要因だと思う。
逆を考えると、それを見越して、芥川賞
選んだんじゃないの?と思われても仕方ないようにも
思われる。
そうでないのなら、羽田氏はとても気の毒な感じだ。
もっと早く、単行本にして出せばいいのに、
何やってんの?!って思う。

だいたい、芥川賞を取る以前から、
読書芸人として、TV見てる人たちに、
本、読書の面白さなどを、伝えてきた又吉氏に、
どの面さげて、残念などというのだろう。

又吉氏の凄い所は、自分の本を売ろうというよりは、
みんなに、本っていいよっていうことを
アピールしているところではないかと思う。
いろんな番組、雑誌とか見ていると、
ほんと、同じ本のタイトルを何度も口にしているのは、
人間失格』『トロッコ』くらいで、
いつもいつも、違ったいろんな本をおすすめしている。
そういうところが、ほんと、凄いところだ。

それなのに、「残念」とは…
本を売る気があるんなら、出版社がスポンサーになって、
本を紹介するTV番組を作るくらいすればいいのに。

ゴロウ・デラックスとか、
王さまのブランチのブックコーナーとか、
全国放送でなくて、大変もったいなかった
中京テレビさんがやってたわがままな本棚とか、
そういった番組のスポンサーになるとかすればいいのに。
本離れを危惧するばっかりじゃ、どうにもならんのに。

この前、又吉氏とNEWSの加藤氏がMCで、
浅井リョウ氏をゲストにした番組をやっていたが、
ああいうのを、ちょっとネットとか、TVとかで
やっていけば、何が話題になるかわからないし、
本って、面白そ〜と思ってもらい、
実際面白い本を売れば、廃れることはないと思うのだ。
だいたい、どうでもいいような本を出版しすぎ。

3月12日、自分が書いている
「私は次回作を楽しみに待とうと思う。
芸人や漫才という、彼のテリトリーから離れたところを
書いてくれたら、読みたいなぁと思う」
という記事を思い出して、ふむ…と思う。
どの番組でだったか、又吉氏が、
「恋愛の事、家族の事、子ども時代の事
そういうものを書いた後にどういう物が書けるか…
自分も楽しみ」
というようなことを答えていたことは、
私が思っていたことと重なる。
私、預言者か?
そう…その文章から、又吉氏のあの独特な風貌が
ぼん!と浮かび上がらない、そういうものを、
私は読んでみたいと思う。
1月9日雑誌に掲載された火花を読んで、
次回作に期待…と思ったあの感じは、
『火花』が芥川賞を取った今でも変わらない。

又吉氏が、これからどんな物を書いていくのか、
それが楽しみ。
平野啓一郎氏が芥川賞を取って、その後を
ずっと楽しみにしている私のようなファンがいるように、
又吉氏にも、作家としてのこれからを
楽しみにしているファンがきっとたくさん出来ただろうし、
私もその一人。
だから、「芥川龍之介への手紙」は、ぜひ読みたい!

『火花』読んで、ピンとこなかった人も、
又吉氏の言葉どおり、「面白い本はいっぱいある」から、
他にも手を伸ばしてみたらいいよねぇ。