とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

なかなか!

「『スクラップ・アンド・ビルド』という本を買って下さい」
と、羽田圭介氏が言ってたのが、
大変耳に残っている。

結局、『流』も、まだ買っていないのだった。

並べてみると、
流 火花 スクラップ・アンド・ビルド

書店で並んでいるのも見たが、
どれも、装丁が、いい感じなのだ。

『火花』も文學界で読んだが、
『スクラップ・アンド・ビルド』も、
文學界で読んじゃった。昨夜から今朝にかけての事。

なかなか面白かった。
なんども「はよ死にたか」とか「迎えに来てほしか」とか
繰り返すおじいちゃんが、だんだん、なんだか
怪しげになってくるところが、面白かった。
年とって、弱ったふりしてるだけなのか?と思わせる描写。
また、健斗のおじいちゃんが老いることへの解釈というか、
死への手助けの理由づけみたいなものが、
ばかばかしいと思いつつも、なんだかちょっと、
ほんと、そうなのかもしれない、と思わせるところが。

ちょっぴり、説明が多いような気もするが、
心理描写だけではなく、おじいちゃんとかの様子が、
頭のなかに凄く描き易かった。
コントのような、喜劇のような…
ドラマっていうより、
お芝居って感じが強かった。

健斗の筋トレも、なんか、笑えてくる。
行動に移すための動機付けとか、理由のこね方とか、
もうすぐ、30なのに、なんだか
高校生みたいな健斗が、思い浮かんでしまった。

それでも、おじいちゃんを介護する(といいつつ、
早くあの世へ送るお手伝いをしているつもりの)健斗の
神経質そうで、細かくて、びびり、なところが
あっちこっちに表現されていて、
おじいちゃんとのコンビのおもしろさが
大変引き立っていた。
LIFE!のコントにありそうな、
なんか笑えるんだけど切ない。けど、やっぱり(笑)っていう…
そういう孫とじいちゃんの日々に、
読後感はけっこう、好きな感じだった。
不幸な感じがしないんだもの。
もちろん、めでたしめでたしって感じでもないけど。

説明が多いって、書いてはいるが、
読者がかってに補完できる部分もあって、
そういう余白みたいなものは、小説には欲しいなと
思っているので、うまいなぁと思うのである。
まぁ、若い人の作品らしさが前面に出ていたが。
これって、高校生とか読んだらいいんじゃないかと
読みながら思ったのであった。

落ち着いたら『メタモルフォシス』を読んでみたいと思う。

昨日から、電車の中で、
クラバート
を読んでいる。
雨が降っているから、濡れないように、
カバーを付けた上に、ビニル袋に入れている。
というのは、これが、図書館の本だから。
クラバートは、単行本で読みたいと思っていたが、
近くの図書館にはずっと文庫しかなくて、
なんとつい最近、単行本が入っているのに
気が付いたので、借りてきたのだった。
プロイスラー大好きな私としては、
これを読んでいなかったのは、かなりの反省点。
今日は、これから、家でも続きを読みたいと思っている。