とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

哀しかったこと

昨日の図書館でのこと。

あ、もう日付が変わったから一昨日のことだ。

 

『辻』のリクエストカードを書いて、カウンターに持って行った。

著者名と出版社も書くようになっていて、

ちゃんと、丁寧に書いて提出したつもりなんだけれど、

「これは、新しい本ですか?」

と聞かれたので、いやいや、もう、ずいぶん前のだし・・・

文庫になってからすでに2年ほどたっているし・・・

と思いながらも、新しくはないと答えると、

「少しお待ちくださいね」

と言って、端末で何か調べ始められた。

そして、図書館員さんは「ん?」

と言って、端末のキーボードをまた打ち直し、

「あれ?ないな」

といった後、小さな声で、

「吉井さんの辻・・・辻・・・よしい・・・」

とつぶやいて、さらに打ち直す図書館員さん。

 

そうかぁ・・・ご存じないのか・・・ちょっと哀しい気持ちで

「あの・・・よしいさんでなくて、ふるいさんです。ふるいよしきち」

と小声で言ってみた。

「ああ、ホントですね。古井か…」

 

私の字が読み辛かったのかもしれない。

吉という字が、強調されていたのかもしれない。

 

いや、やっぱり、知られていなかったのだろう。

若者向けの作品ではないのは、感じているけれども、

又吉効果で、手に取る人が増えたんじゃないかと思っていた。

私もそういう一人であるし、読書芸人の初回で、

又吉直樹氏が、書店にて、古井氏の『蜩の声』を手に取り、

「好きな作家さんの新刊が出ていることも知らず、

のうのうと生きてしまっていた・・・」

ってなことを、真面目に言っていたのを見て(滅茶笑ってしまったが)

どんな作品を書かれる人なのだろう、と、すごく興味がわいたものだ。

 

図書館員さんは、みんながみんな司書さんではないようで、

本当に事務手続きするだけとみられる人がいるのが、

なんか、大変哀しい。

せめて、利用者が書いた文字くらいは、読み間違えないで

素直に読んで欲しい。

似た名前の著者がいるのならまだしも…。

 

やっぱりここは、読者が手に取らなきゃな~。

平野啓一郎氏の本も、これまで何度もリクエストしてきたことか…。

そして、棚にいっつもきれいに並んでいるのが惜しい!!

どちらも、又吉氏と同じ芥川賞や、いろんな文学賞を取ってきた作家さんたちなのに。

そう悲しい思いをしながら、どう面白いのか、

伝える能力がない自分に、また、悲しくなるのであった。

でもいいの・・・私は彼らの本を楽しく読んでいるから。

あ~面白かった!だけでなく、考える読書をしたいと、最近は強く思っている。