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とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

言葉の力

絵、図、写真、動画など、一目瞭然なものは、

確かに伝わりやすいなぁ…と思う。

 

たとえば、今日のあの人の服装を説明するとして、

写真を見せるのが、手っ取り早いのは、当たり前か。

 

きょう、『ディアローグ』を読んでいて、

高橋源一郎氏が平野啓一郎氏に言葉の選択のことを尋ねていて、

その答えの中の一文。

 

あるテーマを書こうとしたときに、磁石に集まるようにそこにある

一定量の言葉がドサッと集まってきて、と同時にそこに入れない、

吸い寄せられない言葉というものもあるわけですね。そのとき、

そこに集まり寄ってくる言葉の、互いの親和性みたいなもの、

括りというのはなんなんだろうかと考えた。

 

作家というのは、たくさんの言葉を自由に操るというイメージがあるが、

そのたくさんの言葉が、なにか分類わけというか、

自分の中でカテゴリーを分けて引き出しに整頓されているように思えた。

連想ゲームのような感じ。

系統で分けられているというより、

その人の持つイメージにより、うまく分類されているように思う。

 

そのイメージというのは、各々違っていることも考えられる。

自分がその言葉を取り込んだ時の状況、その前後の体験、

心の状態などによっても、イメージは異なってくるだろう。

一つの言葉が二人の作家で、同じように使われるかどうかは、わからない。

作家でなくても、ある言葉に持つイメージが

まるきりぴったりコン!と合うことは、難しいだろう。

 

髙橋氏もいってらっしゃる、言葉の好き嫌いも

それぞれの持つイメージに大きく関わっていることだと思う。

だから、作家はなるべく自分の言葉が多くの人に伝わるように

と思って、言葉を選んでいらっしゃるのだろうが、

使われた言葉全てを、同じようにとらえている人は

恐らくいないだろうから、そこに読書の自由さがあるのだろう。

解釈は、一人一人読者に委ねられているということ。

 

小説家、文学者にかかわらず、

人は誰かとコミュニケーションをとるときに、言葉を使う。

私が思っていることを、100%ぴったりと相手に伝えるには、

言葉を厳選しなければならないだろうが、

日常の会話でそうするのは途轍もなく大変な作業。

つまり、人と人との会話の中には、一つの言葉の持つ意味や

イメージの幅の違いが出てくるので、

特に内面的なことであれば、ズレや誤解が生じるのは、

当然なのかもしれない。

ある言葉に自分はプラスのイメージを持っていても、

他の人はマイナスイメージを持っているかもしれない。

 

だから、「あの人私が言ったこと、まったく解かってない」

と思わずに、間違って受け取られないためには、

どんな言葉を使ったら良いかと考えることも必要だろうし、

あの人にはこの言葉はこういう意味合いで受け取られるのだな、

という理解も必要になってくるのかもしれない。

また、そういう言葉の意味合いの捉え方の違いがあることを理解したうえで、

人に100%伝えることは不可能、と、念頭に入れておくことも必要か。

 

というようなことを考えていて、

小説には、数多くの言葉が使われていて、

もちろん、使ったことも聞いたこともない言葉も含まれていて、

小説を読んで、自分の中に感じることは、自由だなぁ

と、改めて感じるのであった。

読書体験は共有もできるが、その小説を読んで、

自分の捉えたものは、自分だけのものであるということ。

そして、その自分だけのもの、と考えている小説と、

作者の伝えたかった思いとの重なりが多いほど、

作者の言葉選びは正しかったということになるのかな。

 

 

励ましの言葉、褒める言葉を、私の為にかけられても、

まっすぐに心に届かないことや、

逆に、それを受け止めたいと思えないことが時々あって、

これをどうしたもんだか…と、よく悩む。

何を伝えたいのか、把握できずにもてあますことがよくある。

言葉の力は十分に認めるが、ズレたままの会話の結末は

不毛だし、虚無となって流すしかないなぁと思う。

素直に受け止めればいいのかもしれないが、

そういう、評価的なことは、どうでもいいと思う今日この頃。

いったいどういう反応で、どういう言葉を返せばいいのやら。

背中がぞわぞわする言葉を浴びて、どうにも反応できなくなると、

無言で笑うしかなくなってくる。

どういう言葉、反応を期待されているのかと考えると、

余計に困って、「私は貝になりたい」などと思うことも。

 

もっと、心の奥底にずずーんと響く言葉が欲しくて、

また、自分の心を100%言い表す知らない言葉での

表現方法を取り込みたくて、本を読むのかもしれないなぁ。

そうそう、そういう気持ちなんだよ!という表現に出会うのは、

ほんとに嬉しいものである。

 

誰か、今の私の気持ちをうまく言葉で表現してくれないかなぁ。