とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

好きになりそう

読み上げた〜面白かった〜
読書芸人又吉氏のエッセイ集
第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)

なんというか…素直で優しい人だ。
風貌はさておき、好きになりそうだ。
いや、風貌は…なんて言っておいてなんだが、
私は見てくれは気にしない。
見てくれと言っても、味わい深い顔してらしゃるし、
何より、本・小説が好きでたまらん!っていう気持ちが
溢れかえっている。
お笑いの人なので、笑いのネタっぽくなっている部分もあるが、
人間なんて、所詮笑いのネタくらいにしかならない
恥ずかしいものなのさ
みたいにも取れて、面白かった。
でもって、真面目なところもすごく素敵だ。


47冊の本が挙げられている。
読んだものもあれば、誰?という作家さんもたくさん。
えらく気になるものもあったし、
又吉氏の言葉もウム!とうなるものもあって、
この本が520円で買えるのかぁ。
それにしても、私生活・子ども時代の思い出などを
書き綴りながら、それを最後に一冊の本にもっていく
その持って行き方が面白い。
読んでみたいと思わせる。
折角なので、気になる本の中に入れてしまおう。


私はここ数年、絵本や児童書を主に読んでいて、
一般向けの小説などをほとんど読んでこなかった。
特に、最近ポンポンでてくる日本の作家の小説は、
どれどれ…と開くものもないくらい。
なんというか、文学としての本というより、
話題性だったり、娯楽性だったり…
なんだかすぐに映像化してしまったりの小説ってものが、
消費ありき、って感じで嫌なのだ。
だいたい、そんだけ出したって、人間が一生のうちで
読める本なんてたかが知れている。
印刷っていう技術は、残すために生まれてきたはず。
残すべき物が、そんなにあふれかえっていいのか?
もっと吟味してほしい…なんてことを思っている。


一つだけ、共感できかねる表現があった。
銀河鉄道の夜』の最後んとこ。
−子供のために書かれた童話の多くが、
童話という枠を取ると魅力が損なわれがちですが−


又吉氏は、結構早いうちから純文学に入っていらっしゃるので、
もしかしたら、あまり読まれていないのかもしれない。
たしかに、そういうものもあるだろう。
けれども、童話・児童文学の中には、
子どもであろうが大人であろうが、
精神にずしんと響く、それこそ
カテゴリーにとらわれない素晴らしい作品も
数多くあるということを、知って欲しい。
カテゴリー分け自体が難しいよなぁ。