とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

絵本のこと

今週、たいそう強烈な体験をした。
ある方の講演を聴いたのだ。
その方の講演は、実は初めてではなかった。
前回もおぉ…と、思ったけれど、
今回ほどではなかった。
それから3年ほど経っているので、
私は3年分、時間をもったいないことに
使っていたのかもしれない。

講演を2度続けて聴く機会があったからかもしれないし、
自分の気持ちが、丁度響く状態にあったからかもしれない。
そう、たぶん…
出会いには、タイミングっていうものがあって、
こっちが受け止める状態になければ、
すっと、ただ、なんとなく、通りすがり的に
終わってしまうものだと思う。

私にとっては、その方は、
「気を付けよう、暗い夜道とボランティア」
と言って、読み聞かせボランティアに、
もっと子どもに責任を持ちなさいよってことを
厳しく訴える人であり、
子どもの頃見たことのある
テレビアニメ「ガンバの冒険」の原作
冒険者たち――ガンバと十五ひきの仲間
の作者であり、
また、福音館書店の編集責任者であった方である。

今回、どうして…何が、そんなに響いたのか
自分でも不思議なのだが、
自分がしっかり勉強して、強い想いがあって
読書ボランティアをしていると自信があったわけがなく、
恐らく、その方の言葉を聴いて行くうちに
「こりゃ、やってられん」
と思っていたら、きっと投げていたろうと思うのだけれど、
お話を聴いて行くうちに、
まだ、まだ、勉強することは山ほどある、
自分を磨いて行かなきゃなぁと、
珍しくポジティブになれたのであった。
それは…なぜかっていうと…
親しく話したわけではないけれど、この方は、
厳しいことは言われるけれども、
子どもたちへ、伝えて行かなきゃいけないものは
伝えて行かなきゃならない。
一生を支えてくれうれしくって楽しくなる絵本を。
この方が、子どもへ向き合う姿が、あまりに真摯で、
ああ、石井桃子さんや瀬田貞二さんに
直に学ばれた方なんだなぁと実感したのだった。
そして、この国の子どもの本の夜明けに
心血を注いでこられた方たちの強い信念を、
直に私たちに伝えてくださっているその方の言葉を、
どうして、悲観的に受け取ることができよう。

その方の挙げる、子どもの本のリストは、
あまりに王道であるが、それなくしては、
子どもの本は語れないってことなんだと思う。
だから、私たちは、その本のことを知らなければならない。
読まなければならない。
そして、その本たちがどれだけ、生きることを
支えてくれるかってことを知らなければならない。
全て読まなければ、子どもの前に立ってはいけない、
それが、子どもに対する礼儀であるというのも、
今からでも、遅くはないと背中を押してもらえている
そんな感覚があった。

これまで、いろんな方の講演、言葉を聴いて、
わかっていたようで、わかったふりをしていたのだと、
痛感したのであった。
でも、その痛みは、前進へと背中を押してくれるもので。
言葉のあちこちに、痛烈な批判、厳しさがあると同時に、
なんて、心優しい誠実な方なんだろうって思わせる。
これは、清水眞砂子さんのお話をうかがった時も
強く感じたことであった。

真面目に生きていくことは、なかなか辛いことであるが、
そういうふうにしか生きていけない人がいて、
そして、自分もそうありたいと強く願っている。
自己満足で終わらないように、
日々、何かを感じて過ごしていこう。