とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

自分のスピードで

今や、まぁ、巻き戻したり先にとばしたりは、
楽ちんなので、ドラマなど観るのも、
自分のスピードで観れると言えば、観れる。

本の良い所は、自分のスピードで読める所。
先をめくるもよし、後戻りもいつでもOK。
多分、ドラマを長い事見なかったのは、
最近のドラマって、前回分を流したり、
回想シーンがやたら散りばめられてたりするし、
民放だと、CMの多さも鬱陶しい。

回想シーンなど、振り返りたい時に、いつでも
その場面を読める本ってば、素敵!

映画館に行って観ていたら、どんな感想になっていただろう?
と思い返してみる。
ふがいない僕は空を見た』について。

印象的だったシーンは、あちこちにあったが、
原田美枝子さん演じるの助産婦・たくみの母さんが出てくると
なんか、ホッとする自分がいた。
好きだなと思ったシーンは、
・たくみがお産の手伝いをするシーン
・福田が米びつにお金を入れるシーン
・祖母ちゃんと一緒にこたつに入って勉強している福田

たまらんなぁ…のシーン
・人工授精がうまくいかなかったことを電話で報告するシーン
・福田ニヤニヤ→幼なじみの自転車を蹴り、チラシを半分… の一連のシーン
・食べるものがなく、商品のお弁当を陳列するときに
 食すように匂いを吸い込む仕草
チロルチョコはレジを通すも、
 店長の財布から1万円抜き出し見つかるシーン
・届けてくれたお弁当を捨てるシーンと
 幼なじみの女の子とお弁当をむさぼるシーン
・福田が田岡に何もされなかったかと看護師に訊かれるシーン
・触るな変態!と叫んだ女の子の足元にチロルを置くシーン
・たくみが学校に復帰するシーン(自宅玄関と廊下)

なんだかわからんけど、印象的だったのは
・田岡が団地の子たちに食べ物らしきものを手渡すシーン
・チラシを団地組二人でばら撒くシーン
・ざわつく教室でやっていた命の授業(?)での先生の言葉
助産院での斉藤先生に引けを取らないみっちゃん先生の存在感
・「自分の都合だけで俺を産まないでよ」

前半の、あんずとたくみがメインの部分は、
時間が前後していて、う〜ん?だった。
勝手にページをめくられる感じ。
先に進んだり後戻ったり。ま、これは映像の手法でしょうが。

あの人もこの人も、あれこれ重い物を抱えて辛すぎる。
重いものを抱えているのに、必要なものが「ない」って
感じにさせられる。
あれこれ、気づいたらなくなっている。喪失感が物凄い。
前に進むためのエネルギーが得られない。
それでも、生きている不思議。
最後に赤ちゃんが生まれてくる場面で終わらせる…
この出産シーンだけで、これまで描いてきたやりきれなさが
吹き飛ぶ。

余白が多い映画だったなぁと思う。
印象的なシーンが、いろんなことを考えさせる。
あっちこっちに、自分が考えさせられたことと
繋がるシーンが出てきたりして。
ふがいないどころか、しっかり生きているじゃん!と、
背中を叩きたくなる登場人物たちであった。

福田と田岡のやり取りが、凄く残っている。
あと…どうして福田は団地を抜け出さないのか?
祖母ちゃんを置いて行くという選択もあるはずなのに、
それより、大変な方を選んでいるのはなぜ?と思ったが、
今でこそ痴呆のばあちゃんだが、あんな母さんだもの、
恐らく福田は祖母ちゃん子で、祖母ちゃんから受け取ったものが
沢山あるのだろうことは、想像に難くない。
そんな祖母ちゃんを残して出て行くとか、祖母ちゃんの死を待つ
なんてこと、彼には出来なくて当然ではなかろうか。

まだまだ、いろいろ思ったことはあるが、このへんで。

追記:やはり、かれの「なんで?」は、いい。