とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

幸せを感じるには

やさしい大おとこ

スロボドキンの童話。6月に出た新刊。
『ピーターサンドさんのねこ』は、
清水眞砂子さん訳だったが、
『やさしい大おとこ』は、こみやゆうさんの訳。
ちなみに、『ピーターサンドさんのねこ』は、
こみやゆうさんが編集された本。

こみやゆうさんの訳にひかれるのは、
その優しく、リズミカルな日本語と、
懐かしさを感じる響きである。

翻訳された絵本や童話、いずれも
というわけではないが、高い割合で
お気に入りの本のうちに入る。

特にこれら。
クリスマスのまえのよる (主婦の友はじめてブック おはなしシリーズ) テディ・ロビンソンのたんじょう日
クリスマスってなあに? 庭にたねをまこう!
おかのうえのギリス (大型絵本) ジョニーのかたやきパン (大型絵本)
きかんしゃがとおるよ

なつかしい響き=「古い」と受け取られると
それはちょっと違うのだが、
例えば…今回の『やさしい大おとこ』でいうと、
「ピンクのさとうごろもがかかった」ケーキ。
「さとうごろも」ってところがいいじゃない!!
(アイシングケーキって、最近食べないな
ってより、菓子パンにかかっているのを見るくらいか)

読んでいて、何となくほっとするのである。

お話しは、ハッピーエンド。
幸せな終わり方をするには、
辛いことや、哀しいことが必要だ。
毎日のささやかな幸せというのが感じられるのは、
その逆の感情を知っているからなので。
もちろん、辛いことや哀しいことが、
劇的である必要はどこにもない。
この物語にはドキドキもハラハラも含まれるし、
辛いとか哀しいことも含まれているのだけれども、
そのどれもが絶望的でないところが好きだ。
決して派手ではないけれども、
確かにある幸せを感じることが出来る。

素直だとか、実直だとか、誠実だとか、
そういう物をおはなしの中からじわじわと感じる。
全然、そういう言葉は出てこないのだけれど。
そこがまた、いいなぁと感じるし、
余計に幸せな気分を満喫できる読後感なのだ。

そう言えば、スロボドキンの
『りんごの木の下の宇宙船』を図書館で読んだのだが、
表紙、挿絵が日本の方のもので、
どうしてスロボドキンの絵ではないのだろう?と
不思議である。
The Space Ship under the Apple Tree
というタイトルで出版されたこのほんを、
スロボドキンのWEBサイトで見ると、
ちゃんとスロボドキンの挿絵なのであるが。
スロボドキンのWEBサイトは、なかなか凝っている。
作品一つ一つが詳しく紹介されているので、
日本語に訳されていないものを見つけて、
これは面白そうだから…と、
勝手に翻訳されることを希望したりして見るのも楽しい。

日本語訳されても品切れになっているものもあり、
図書館への旅に出なければ!という気持ちにもなるのだった。