とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

『決壊』読了

今日は、仕事が休みだった。
おはなし会関係も何もなく、本当に久しぶりに
なーんもない平日。
でも、やりたいことは、いろいろあって、
大変困ったが、優先させたのは、『決壊』を読むことだった。

『決壊』の上巻だけ図書館から借りてきて、
日曜の夜から読み始め、今朝、読了。
決壊 上巻
続きが早く読みたかったので、
買い物から帰りに図書館に立ち寄り、
『決壊』下巻を借りてきた。
決壊 下巻
それを一日のめり込んで読み、先ほど読了。

感情をかき乱される小説だった。
喜怒哀楽の喜と楽は、あまり感じることができず、
絶えず、不穏な空気が流れているような
不安な気持ちになる小説だった。

落ち着いた、頭脳明晰な沢野崇だが、
そのソツのなさ、優秀さに、逆に不安を誘うシーンが、
上巻での友人室田との会話だ。
あと、同僚の岸部との会話とか。
これがあるからか、
弟・良介が殺されたとわかったとき、
崇が女性と京都旅行をしていることは分かっているのに、
もしかして、悪魔は崇なの?!という疑いをもって
読み進めてしまった。
真犯人がわかってからも、結局最後まで
崇が…?という気持ちが捨てられずにいて。
最後まで崇が、気の毒だった。
沢野家…誰が悪いことしたってわけでもないのに、
結局、家族崩壊しちゃって、いたたまれない。

頭脳明晰で、言葉が巧みな崇の会話の部分が、
知識の浅い私には、なかなか読み取れなくて、
時間がかかったけれども、
ほんとに引き込まれる内容だった。
嫌な奴も沢山出てくるのだけれど、
自分の中に、こういう自分がいないかって、
読みながらすごくモヤモヤしたものを感じた。

もう、7年ほど前に出た本だけど、
今も変わらないし、もっとひどいような気もするし。
人間って、なんと言ったらいいかわからない生物だなぁと
改めて感じた。
この『決壊』あたりには既に、平野氏の中に、
分人主義があったのだな、と読みながら強く感じた。