とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

時の流れを感じ

もう、何度目だろうか。
上の子が、高校に手作りお菓子を持っていくようになった。
始めは、同じクラスのお弁当仲間と食べるといって、
サーターアンダギーを作って持って行った。


次は部活でハロウィーンパーティがあると言って、
プチサーターアンダギーを作って、30個ほど持っていき、
そして、バレンタインデーに友チョコだといって、
チョコがけクッキーを60枚ほど。
クッキー作りは二度にわたり、そして、昨日、
ブラウニーを焼いて、月曜日に持っていくという。
おお、ブラウニー!高校の家庭科で、先生が一度作らせてくれた
あの木の実のチョコケーキか。
あんなの、あんたに焼けるのかい?


それで、簡単そうなブラウニーの本を図書館から借りて、
一昨日は買い物ついでに不足している材料を買っておいた。
「でも、ママは一日お仕事だから、手伝えんよ」
と、逃げるように仕事へ。
クッキーあたりは一緒に作ったことがあるけれど、
ケーキ関連は一緒にやったことないし、
だいたい、天板にペーパーしいて焼くとか、
あの不器用な彼女がひとりでやるとは思えんな…。


帰りしな、携帯を見たが、メールも何も入っていない。
材料のありかはわかったかな?天板に紙を敷くこと、
わかってるのかな?
もしかして、一日仕事をして帰ったら、
ママ手伝って〜と泣きつかれるのかもしれん…
おお、くわばらくわばら。


仕事終わって帰りついたら、玄関までココアの香りが…。
なんと、25センチ四方のブラウニーが、一枚焼きあがっていて、
更にもう一枚、生地を型に収めようとしているところだった。
うさこちゃんのおとうさんが
「おまえひとりではけたのかい?」
と驚くシーンのように、
「おまえひとりでやけたのかい?」
と思った瞬間、脳裏をよぎった苦ーい記憶。


子どもたちが小さいころ、いろんな手作りを頑張って
やっていた時期がある。
パンをこねたり、ケーキを焼いたり、
子どものパジャマなんかは買ったことがないし、
今から10年ほど前か。
その頃、まぁ、自分が好きでやってみたというのもあるが、
正直なところ、どれだけ家計を浮かせるかっていうのが、
テーマであった。だから、子どもがやりたがるので、
一緒に楽しく〜♪なんて気持ちになれず、
やりたがる彼女に、とりあえずやらせてみて、
「ママが言うとおりにできないんだったら、やらんでいい」
なんてことを言い、彼女をショボーン状態にさせたことが
何度もあるのだ。
なんちゅう、鬼な母。
ううっ、思い出すだに、情けない。
今、こうやって書きながらも、涙がにじむ。


そんな打ちのめされた娘が、
自分で友達に喜んでもらおうとお菓子作りを…
時の流れを感じるなぁ。うるうる…。
とか思っていたら、一枚目を袋にちまちま詰めていた娘が、
一袋私のところに持ってきて、
「これは明日食べてね。母の日のプレゼント!」
だと…。涙腺崩壊するところだった。


料理も洗濯も、片づけも何もできない子に育ててしまった…
なんて思っていたが、もう、子どもじゃないんだなぁ。
っていうか…教えなくっても、好きだったらやっちゃうんだなぁ。
って感慨深く、彼女の使ったボールたちを洗ってあげる
ばかな母親であった。
片づけまでやってくれると、嬉しいんだけどな。


朝、3時半。
目が覚めたら、リビングがまだココアの香りでいっぱいだった。