とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

テレビ番組の偶然に

最近、テレビドラマは見ないけれども、
時々、夜ふかしして、たまたま遭遇する番組が、
おお、見ることが出来て良かった!
と思う、番組がいくつか続いた。

だいたい、翌日の仕事がない日しか
夜更かしはしないので、
(齢かな…仕事のある前の晩は夜更かしできない)
決まった曜日でもなく、本当にたまたまなのだ。

私はEテレ(この呼び名はどう?昔みたいに
教育テレビでもいいじゃないか)が好きなので、
NHKとEテレをうろうろすることが多いのだが、
ほんとうにたまたま
達人達の「是枝監督×姜尚中」の回にばったりと。
その回もなかなか面白かったのだが、
翌週の予告を見て、あぁ!良かった!
と、早速予約をした。
達人達の、7月に放送があった
平野啓一郎×野口健の回の再放送。
これは、見逃していたので、見たかったのだ。

「是枝監督×姜尚中」の回の後、
Eテレだか、NHKだかで、特集がやっていた。
僕は忘れない
〜瀬戸内 ハンセン病療養所の島〜

これも、見ごたえのある番組だった。
そして、たまたま見ていたのだが、
これも再放送だったようで、
こういう偶然というのは、有難いなぁと思う。

そういえば、BOOMの沖縄で歌われていた
島唄がながれていた番組も、たまたまだった。

今日は、スケートアメリカの録画分を編集し、
BDにダビングしながら、
平野啓一郎×野口健」の達人達を見た。
一度、再放送があった時に見たのだけれど、
いろんな言葉にうなずき、考えさせられ、
ああ、そうかと納得させられる。
保存版である。
平野氏の『空白を満たしなさい』を読んで、
物凄く良かったので、見たかったのだが、
野口さんの話も、とても興味深かった。
とくに、
「やりたいことと、やらなくちゃいけないことのバランス」
の件は、面白かった。
バランスかぁと。

「やりたいことと、やるべきことが一致している人は
自由人である」
という、学生の頃の心理学の先生の言葉は、
自分の中で、とても大きな目標になっている。
いつまでも自由ってなんだろうとか、
まだ自由人になり切れない、
自分のやりたいことや、やるべきことが、
ぶれていると感じている自分にとって、
この野口さんのバランスをとるという考え方は、
ああ、私は合致させなきゃと思っているところに、
変な力みがあるのだな、と反省させられた。

平野氏の死に(自殺に)関する考え方は、
ラジオでも聴いたのだが、
大変正直で、またとても誠実さが窺えて、
深く自分を見つめるという行為は、
深く生きる為には必要なことだと感じさせてくれる。
また、小説や読書に対する平野氏の考え方も、
いいなぁと思う。
とくに、読書という行為において、
ページをめくる前と読み終えた後では、
読者の中に何らかの変化があってこそという考えは、
これは、大人の読書にも、
子どもたちの読書にも同じことが言えるだろう。

平野氏の日蝕を買って読んだのは、
下の子が生まれて半年ほど経ってからだったので、
もう、15年近く前の事だが、
文章の難解さゆえに惹かれ、
初エッセイの『文明の憂鬱』も購入した。
それ以来、今を生きる作家の中では、
興味を持ち続けることのできた数少ないうちの一人である。

こういうことは、まぁ、よくあることかもしれないが、
たまたまではあるが、見ることが出来てとても嬉しい。

この前、アメトークのプレゼン大会で
又吉氏が、偶然をテーマにしていたが、
そういう話がとても好きという又吉氏は、
読書が好きだから、そう思うところが大きいのでは
無いだろうかと思う。
日常の中にある、ちっぽけな偶然だが、
そこに、物語があるように思えるし、
そう思った方が、人生が楽しいのである。

平野氏と野口氏のサヨナラのシーンで、
友だちは数じゃないという言葉が聞けたのも、収穫であった。
若い人に見て欲しい番組だなぁ。
学校の先生とか、こういうのを録画して、
子どもたちに見せてくれたらいいのに。
とも思うが、これ見よがしに子どもの前では見ない。
本もそうだが、子どもたちは、
押し付けられるものには、拒否反応を示すので。
それに…最大の理由は、
私がたったひとりで見たい、と思う番組だったからだ。

若林氏が言っていたように、よく解らなかった『日蝕』を
もう一度ひも解いてみよう。
15年で、私はどれほど、変わったか?