とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

ホッとする一瞬

むかしむかし・・・で始まるおはなしは、
なぜか子どもたちの意識がこちらにグーッと
近づいてくるものが多いように。
中学生は、とくに、お行儀よく聞かなきゃ
という空気が漂っている時と、
おはなしの流れを、自分の中に描いている時と、
その空気の違いを、語っていると如実に感じられる。

先生たちにとっては、外部からのお客さんであるのか、
粗相のないように、と思ってある節があって、
それを子どもたちに押し付けている場合があるのが
とても残念だ。
お話をしているおばさんが、語りやすいと思うかどうかは、
子どもたちではなくて、先生の態度に左右されると思う。

おはなしを届けに行って、ホッとする瞬間は二度ある。
始まりのホッは、教室の近くに来たときに、
先生の表情が柔らかいとき。
だいたい、一瞬でわかる。
「朝読?ケッ、中学生にもなって読み語りって…何?」
と思われているんだろうなぁ〜という先生は、
これまでの体験から行くと、約3割。
つまり、3度に1度の割合で、始める前のホッは
感じることができず、こちらは緊張の中おはなしを始める。
終わりのホッは、おはなしが終わったとき、
子どもたちが、ふーーーっと、表情を緩める時。
おはなしの世界から、こっちに戻ってきてくれたのがわかる時。
つまり、おはなしの世界に入り込んでたことを感じられる時。
だいたい、そういう場合、こちらも緊張とかなーんにもなく、
楽しくおはなしを語っている場合が多く、
おはなし会が始まる前に思う、届けることができるかな?
というちょっとした不安が、解消されるホッ。
特に、先生のまわりに壁を感じた時は、
おはなし会の終わりでこの安堵を感じられることが少ないので、
もし、子どもたちがおはなしを受け取ってくれたのが、
少しでも伝わると、こっちは教室を出ながら、
じんわり気持ちがあったかーくなる。

朝、15分間。
一週間のうち3日間3学年分語りに行く。
こちらの努力不足もあって、
3回ともこのホッとする瞬間を味わえることは、
とても稀だが、それでも、
必ず一度は、子どもたちのおかげで乗り切れる。

おはなしは、語り手だけじゃ、出来上がらないことが
よく解る瞬間。
人の前で語ってみないとね。
語ることをやっている人たちの前で、
語りをやると、語る楽しさ、語りを聞く楽しさを知っている
人たちばかりなので、おはなしを引き出される感覚に陥る。
これに慣れると、おはなしを聞きなれていない子どもたちの前で
語ることが、とても怖いのだけれども、
それでも、子どもたちにこそ、おはなしを語りたい。

今週は、沢山の子どもを前にして語り、
沢山のおはなしを聞く時間を持てている。
素敵なお話にもたくさん出会え、
今週のおはなし会ラッシュが終わってホッとしている。

次は7月。
夏らしく、涼しくなるこわーいおはなしを入れることが
お題として決まっている。
おはなしを仕上げにかからねば。