とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

ちいさな女

『ちいさな女』は、
カフカ寓話集』
カフカ寓話集 (岩波文庫)
岩波文庫 池内紀:訳)←この訳が良い!
の中に収録された12ページの短編。

カフカといえば、高校時代だったか夏休み読書感想文を書くために、
文庫を配られ(↓これ当時、100円くらいだった)
変身 (新潮文庫)
感想文を書いたか書かなかったかも覚えていない。
たぶん、読まなかったのではないだろうか。
『変身』を真面目に読んだのは、大学へ行ってからだった。

カフカの短編は、一つ一つ丁寧に読むというよりは、
なんだか変わった雰囲気を味わう、ということを
楽しんでいる自分がいる。
その、風変わりで、よくわからない神経質な考えに、
苦笑しつつ、なんだか楽しいので。
『ちいさな女』も、そんな短編の一つ。
自分がちいさな女(華奢ではないが)なので、
「あ、喧嘩を売られた」
的な印象があり、内容も、ちいさな女が勝手に「私」のことを、
気に入らないのが、「私」の悩みであって…云々。
恋愛ものでもなんでもないところが、とても気に入っている。
生理的に合わない、っていうなまぬるさでないのが、
えらく気に入った。
そして、そんだけ嫌うことができる相手というのには、
そう簡単にはお目にかかれないだろうと感心する。
忿懣をぶつけてくるちいさな女に、なすすべもない「私」。

忿懣(ふんまん)=憤懣
という言葉のお勉強もできた。
「公憤」や⇔「私憤」という言葉も、つかえそうな言葉である。
しかし、できることなら、「憤る」なんて意味の言葉は、
使いたくないものだ。
世の中、憤ることでいっぱいではあるけれど。