とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

嬉しい言葉

一週間ほど前、アントキノイノチを購入。
出たばかりの文庫版。
アントキノイノチ (幻冬舎文庫)
映画化されるので、こんなカバーがついていた。

ま、いいか。岡田将生の顔は整いすぎて苦手だが、
意外と男らしい手をしているという発見があったし。

一気に読んでしまった。
遺品整理をする現在のシーンと、
松井の存在に苦しむ高校時代のシーンが、
交互につづられているのが、凄く効果的だなぁと思った。
遺品整理は時間を追うごとに、いろんなことを感じながら、
自分自身の成長をみているが、
高校時代のシーンは、時間を追うごとに、
一つ一つのエピソードが、杏平を追い込んでいく。
また、杏平の母が出て行ったという過去も、
遺品整理の仕事のおかげで、違う感じ方ができた杏平に、
すごく良かった!と思った。
相変わらず、人物像を描くのがうまいし、
人と人との関係の複雑さ、でも、それだけでない部分が
よく伝わってきて、凄いなぁと思う。
印象に残ったのは、やはり壮絶な遺品整理の現場の表現。
亡くなった人の、生きてきた軌跡。
それと、松井君の表裏のある性格と、
登山での、杏平と松井の二人きりで難所コースを行く場面。
それから、杏平を見守る父親の愛。

若い人に、読んでもらいたいなぁと思って、
一回り以上も歳の離れたお友達に貸していた。
「一気に読んでしまいました!」
って、言ってもらえたのが、嬉しかった。

好きな本を、誰かに薦めるという行為は、
ときどき、やめておこうと思うのだけれど、
共感できることがあるかもしれないとか、
あわーい期待を抱いてしまう。
だから、今回のように、気に入ってもらえると、調子に乗って、
じゃあ、これは?と、別の本まで貸してしまいそうになって困る。

共感…というか、同じ本を読んで、語り合うということが、
出来るって、羨ましいなぁと思っているからで、
今、図書館から借りている『レインツリーの国』の冒頭が、
まさにそんな感じだったので、早く読み進めたい!と思う。
図書館に予約していたら、単行本だったので、じっくりと自宅で。