とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

東京湾景

下の子が幼稚園に行き始めたくらいの年だったと思う。
吉田修一氏の小説を何冊か続けて読んだ事がある。

たしか、吉田修一氏が『パレード』山本周五郎賞を取ったあとだった。
新聞にインタビュー記事が載っているのを読んで、
吉田氏が長崎出身だと知ったことも手伝って。
同じ九州で生まれ育った自分には、『パレード』の世界が
あまりに都会っぽいので、この人の作品は
全部そうなんだろうか?と、
最後の息子』『熱帯魚』などを読んだところで、
パークライフ芥川賞を取った。
思えば、私はその作品で初めてスタバなるものを知ったのだ。
そう、映画『ユー・ガット・メール』のDVDを見るよりも早く。

『日曜日たち』のあと、この作品を読んで、
私の吉田修一ブームは終わった。
東京湾景
東京湾景(新潮社)
歳をとったってことだろうなぁと思った。
その後、私には伊坂幸太郎ブームがやってくる。
『重力ピエロ』が出たころだった。

今考えると、別に歳は関係ないかもしれない。
東京湾景』がドラマになったのも、見なかった。
日本の若者の姿を、リアルに描いてある物は、
なんだかお腹いっぱいな感じがしたのだ。

伊坂幸太郎氏の作品も芥川賞や、直木賞の候補には挙がるが、
なかなか取れないというころまでは読んでいたが、
そのあと読まなくなった。

大体、自分の本選びの傾向として、みんながこぞって読んでいるものには、
手を付けたくない、というあまのじゃくのようなところがあって、
だから、村上春樹氏の海辺のカフカあたりはまでよんだが、
1Q84になると、ちょっと引いてしまって、
結局読んでいない。

最近では、『悪人』の映画がヒットして、その原作が、
吉田修一氏の小説だと知り、
伊坂幸太郎氏の小説がぞくぞく映画化された時以上に、
なんだか残念な気がした。

あれから、10年近くたつ。
もう一度読んでみようかな。
今の自分にはどう響くんだろうか。