とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

目新しいこと

これまで、図書館に行った記録は残していたのだけれど、
読書の記録というものを、やっていなかったので、
新しくカテゴリーを増やした。

本当の記録は、手帳に手書きしているので、
その中から、特に、読んで良かったなぁと思える本について、
ちょこちょこっと残したいと思って。

で、記念すべき一冊目は
(実際は読書の記録はこれまでも数冊残しているが)
小川未明童話集 野ばら』(青い鳥文庫)
「赤い蝋燭と人魚」で有名な小川未明の童話集を読んだ。
子どもの頃読んだのは、濱田廣介とか、椋鳩十とか。
小川未明という名前はよく知っているし、
「赤い蝋燭と人魚」も、だいたいのあらすじは知っているが、
どうも、暗いイメージが先行し、手が伸びなかった。

宮澤賢治と時代が被るが、宮澤賢治は亡くなってからの発表作品が多いので、
被ると言っていいのかどうか。

私が読んだ童話集には17作品が掲載されていた。
表題作「野ばら」は、私は習っていないが、
国語の教科書に載っていた作品とか。
これも好きだったが、「台風の子」というのが良かったな。
一番ぐっときた。
「時計のない村」とか「南東の女」とか
好きなものはいろいろあったが、これは、
子ども向けなのだろうか?と、宮澤賢治の作品と
似たような感想を持つ。
「赤い蝋燭と人魚」って、なんかいやぁな終わり方だなぁ。
幻燈のような美しさではあるけれども、
なんというか…アンデルセンの人魚姫とはジメジメ度が違う。

それにしても、明治15年に生まれた人が、
現在にも通じる人間の傲慢さみたいなものを表現していて、
全然新しい感じがする。
人間って、生活様式やあれこれ変わって、
凄く進歩したような気はするが、
やっぱりなんか、ちっぽけであるなぁと感じた一冊だった。
百年ほど前の人が、ここは考え直したほうがいいのでは?
と、折角伝えてくれたことを、
何の足しにもできていない。あほなんじゃなかろうか。

今朝、テレビで、東電との契約を切って、
自家発電のみでの生活へ切り替えた主婦が出ていたが、
あれは、相当勇気のいることだろうし、
周りからは奇特なものを見るような目で見られるんだろうが、
遣わずに済むものは遣わないという姿勢は、
やはり見習わねばならないと感じた。
そんなテレビを見た後だったので余計に、
人間って、やっぱり欲深いなぁと、あらためて思ったのだ。
もちろん私も含めてだ。
物にとらわれない生活をしたいと思う。

今は、この本は品切れのようである。
他の出版社からもいろいろでているんだろうけど。
それにしても、今の子どもたちには伝わるだろうか。
この童話たちのなんとなくじめっとした感じは、
読後感があまりよろしくない。
もやもやするなぁ。
こう、からっとしたものがないのは、
日本海側のお天気をイメージさせ、
小川未明が新潟出身であることなどと、
何か関係があるのだろうか…と思わずにいられない。
しかし、読後感のモヤモヤというのは、
作者の思うツボなのかもしれないとも思う。