とみいよむよむにっき

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痛感しております

私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)

図書館で何度も借りながら、今日、初めての
読了であった。
読みたい!と思った時に手に入らない辛さったらないね。
やっぱり、予約というのは、良し悪しである。
この本に関しては、なんかいろんなことを感じながら読んだ。

内容に関しては、大変興味深く読んだ。
分人という捉え方の提案みたいな本で、
人と人との関わりを考えるときに、
こんな風な捉え方が出来たら、
人との関係を堅苦しく考えずにすみそうだ。

なんというか、小説家というのは、
ただ、文章を書くっていうのとは、
なんか違うんだな、と痛感した一冊だった。

私は真面目に物事を考えるのは好きだが、
それは、外に出しちゃうと、なんか退かれるんじゃ
ないかしらん…と思ってしまうところがある。
平野氏のような、有名な人ならなおさら…。
しかし、彼は真面目に考えて、それを本にしている。
生き方の提案みたいなもので、
小説家もこんなものを書かなきゃならないの?
と思ってしまったりもしたが、
それよりなにより、平野氏の考察のおもしろさ、
真面目な文章は、とても好感が持てる。
何度も読み返して、他人との関係づくりを
考え直したくなる一冊だと思う。

ただ、ちょっと気になった点がいくつか。

まぁ、なんというか、小説家なので、
仕方ないと言えばそうなのであろうが…
カフカや三島、谷崎など作品を例に挙げているのは、
いいとして、平野氏自身の作品をあれこれ
例に挙げてあるのは、読んでいないものもあり、
正直ついて行けない部分があった。
これは、平野氏の作品を読んで、また出直してねって
そんな風に思えるのだが。

もちろん、こういった本から、
次の読書に広がるということがあるってことは、
重々承知している。
それに、この本を『空白を満たしなさい』を読んでから、
読んでみたいと思った私にとっては、
そうか…『決壊』『ドーン』を読んでから
読むべき本だったのか??と思うし、
これは、自己著書へのガイドブックか?と思いもした。
ま、読書が広がることには嬉しい悲鳴だが。

あと、恐らく、著者の意図があるのだろうが、
太字の文章がやたらあって、気になった。
教科書の太字のようなもの。
「ここ、大事!テストに出ますよ」
みたいなね。
読めるのにルビいっぱい振ってあるよ〜
という余計なことされた気持ちと同じかな。

大事だと思うところは、自分で見つけたい
というスタイルの読者(私のことだ)には、
ちょっと鬱陶しいなと感じる、あの太字。

しかし、それでも面白かった。
人間関係で嫌なことがあったら、
開いてみるといいなと思う。
いろいろこれはいいこと書いてあるな!と思う箇所が
かなりあった。
人との関係に悩んだ時に、
その人と過ごしている自分自身のことが好きか?
そう問うてみるのもいいなぁと思ったりして。

また、借りよう。
いや、出来れば、買いたい。
図書館では、また、予約待ちになっていたもの。